
逆境から3年で総投資額9億円に至った著者が、不動産投資の本質を語った一冊
こんにちは、出版社ブックダム編集長の三田です。
「不動産投資に興味はある。でも、金額が大きすぎて怖い」
「会社員の自分には、縁のない世界だと思っている」
「もう若くないし、今から始めても遅いのではないか」
将来のお金や働き方について考えたとき、こんな思いがよぎったことのある方は多いのではないでしょうか。
新NISAや資産形成という言葉を耳にする機会は増えたものの、不動産投資となると、どこか自分とは別の世界の話のように感じてしまう。そう思って、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いと思います。
今回ご紹介する『癌から9億』(著:トシヒロ)は、そんな不動産投資への「怖さ」の正体を解き明かし、一歩を踏み出す勇気をくれる一冊です。
なぜ、不動産投資は「怖い」のか
不動産投資が怖いと感じる理由は、どこにあるのでしょうか。
まず、動く金額の大きさがあります。物件によっては1億円を超え、その多くを銀行からの借入でまかなう。数千万円、数億円のローンと聞けば、身構えてしまうのは当然です。
加えて、金利の動きや空室のリスクなど、自分ではコントロールできない要素が多いように見えることも、不安を大きくしています。
しかし本書は、その怖さの大部分は「知識のなさ」から生まれていると指摘します。仕組みを知らないまま眺めるからこそ、リスクばかりが目につく。逆に言えば、正しく学べば、見える景色は大きく変わるのです。
どん底から3年で総投資額9億円
著者のトシヒロさんは、大手企業で店舗開発に携わったのち、家業の葬祭業を継いで法人化し、22期連続の増収増益を達成した経営者です。
ところが2021年に咽頭がんが見つかります。免疫力の落ちた身体で外出もままならず、部屋で見るYouTubeだけが楽しみという日々。そのなかで不動産投資の動画を見続けるうちに、「なんで俺はやっていないんだろう?」という思いが芽生えたといいます。
55歳、知識ゼロからのスタート。1日10時間動画を見る日もあるほど学び、1棟目は1億7千万円。そこから約4か月ごとに物件を買い進め、3年で総投資額は9億円に達しました。
人生を変える4つのステップ
では、トシヒロさんは何をしてきたのでしょうか。本書では、その歩みを以下の4つのステップに分けて語っています。
楽しむ——生活のためではなく、人生を豊かにするために
学ぶ——知識が、一歩を踏み出す勇気をくれる
行動する——完璧な物件はないと心得て、踏み出す
人と会う——いい情報は、人とのつながりから流れてくる

その中から、特に印象に残った4つのポイントをご紹介します。
一歩を踏み出すための4つのポイント
返済するほど資産が貯まる「内部蓄積」を知る
不動産投資の利益といえば、毎月の家賃収入である「インカムゲイン」と、売却時の値上がり益である「キャピタルゲイン」が知られています。しかし本書によれば、多くの人が見落としている「第3の儲け」があります。それが「返済による内部蓄積」です。
たとえば1億円のアパートをフルローンで購入したとします。10年後に物件価格が15%下がって8,500万円になっても、ローン残高は7,300万円ほどまで減っています。売却すれば、手元には約1,200万円が残る。価格が下がっているのに利益が出るのは、毎月の返済によって〝物件にお金が貯まっている〟からです。

しかも、その返済の原資は入居者が支払う家賃です。銀行のお金で物件を買い、入居者のお金でローンを返しながら、時間とともに自分の資産が積み上がっていく。この仕組みを理解するだけで、「不動産投資=ハイリスク」というイメージは大きく変わるはずです。
「ゆる」か「アグレッシブ」か、自分で選ぶ
本書が興味深いのは、「これが正解」という型を押しつけないところです。
地方の築古物件をフルローンで購入し、キャッシュフローを最大化していく「アグレッシブ不動産投資」。地価が維持されやすいエリアの築浅物件を、無理のないローンで持ち続ける「ゆる不動産投資」。どちらにも理があり、年齢や収入、何を大切にしたいかによって選ぶべき道は変わります。
トシヒロさんがすすめるのは、まず「ゆる」から入ること。最初の1棟で失敗しなければ、不動産投資を続けることができる。そして面白くなってきたら、そこでアクセルを踏めばいい。この考え方は、怖さが先に立つ初心者にとって、大きな安心材料になるのではないでしょうか。
いい物件は、人とのつながりから生まれる
「ネットに出ている物件情報は、誰も買わなかった残り物」。本書のこの指摘には、ハッとさせられます。条件のいい物件は表に出る前に動き、人とつながっている人のところに流れていくのだそうです。
トシヒロさんが1棟目の情報を得たのも、大家の会でたまたま隣の席に座った不動産会社の社長との縁がきっかけでした。しかも、メインバンクの担当者まで同じだったという偶然が重なります。
また本書では、融資担当者を「審査する人」ではなく「二人三脚のパートナー」ととらえることや、相手に100を与え、自分が受け取るのは1でいいという「GIVE×100、TAKE1」の考え方も語られています。営業や経営の現場で人と向き合ってきた著者ならではの人間関係の築き方は、不動産投資に限らず、仕事全般にも通じるものがあります。
まずは「1年後に始める」と決める
タイパ・コスパが重視される時代に、本書はあえて「1年かけて勉強しよう」と提案します。
おすすめは、今日「1年後に始める」と決めてしまうこと。その1年を、勉強と仲間づくりにあてる。学びはじめると見える世界が変わり、焦りが消え、「やらない理由がない」と思えたときが本当のスタートラインだといいます。
一方で、勉強しすぎてもいけない、とも本書は語ります。完璧な物件は存在しないからこそ、7〜8割理解できたら、あとは度胸で踏み込む。学ぶことと動くことのバランスの取り方にも、実際に3年で9億円まで買い進めた人ならではの説得力があります。
本書で語られるそのほかのトピック
- 会社員は不利ではなく有利——勤続年数と収入が信用になる
- 都心は買えない。都心周辺が狙い目という物件選びの基準
- 入居者の目線で街を歩く、物件の見方
- 子供には現金ではなく不動産を残すとよい理由
- 最後は自分を信じる——今まで生きてきた直感を侮らない
不動産投資とは、単にお金を増やす手段ではなく、学び、行動し、人と出会い、楽しみながら人生を豊かにしていく営みでもある。がんを告げられ、どん底にいたトシヒロさんの歩みは、そのことを教えてくれます。
本書を読み終えたとき、きっと多くの方が「なんで俺はやっていないんだろう?」と思うはずです。いま逆境にいる方、立ち止まっている方、そして自分の人生を変えたいと思っているすべての方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
著者について
大学卒業後、大手自動車メーカーに勤務。その後、親戚の家業であった葬儀会社を継ぎ、20年以上にわたり経営者として事業を成長させ、M&Aにより株式上場を果たす。
その間、飲食業やIT事業などの起業も経験。2021年に中咽頭がんを宣告され、2ヶ月半の入院で抗がん剤・放射線治療を経験する。その闘病を機に「残された人生をどう生きるか」を見つめ直し、不動産投資を開始。知識ゼロから学び、わずか3年間で総投資額9億円を達成した。
現在は不動産投資家として活動する傍ら、J-REC公認不動産コンサルタント、不動産実務検定講師として、不動産投資の実践的な知識と、逆境を乗り越え人生を変えるマインドを発信している。
本の紹介

