「英語サイトを作ればLLMO対策になる」──それ、御社に本当に必要ですか?

「LLMO対策に英語サイトが効果的」という営業トークを聞いたことはありませんか?
Web制作歴30年の芝田弘美が、その根拠と落とし穴を現場の実話をもとにズバリ解説します。

「英語サイトが有効」と言われる背景

まず、なぜ「英語サイトがLLMO対策になる」という話が出てくるのかを整理します。

ChatGPT・Gemini・Claudeなど、主要なLLM(大規模言語モデル)は、そのトレーニングデータの多くが英語で書かれた情報です。インターネット上のコンテンツは英語が圧倒的に多く、LLMは英語の文章をより大量に学習しています。

「だから英語で書かれた情報はAIに処理されやすく、英語サイトを持てば有利になる」──この論理は一見筋が通っているように見えます。

しかし、これはモデルの学習データに関する話であり、「日本語で質問した日本人ユーザーへのAIの回答」とは別の話です。

現在の主要AIは日本語処理能力が非常に高く、日本語で質問されれば日本語で回答を生成します。
ユーザーが「横浜でWeb制作を依頼したい」と日本語で尋ねれば、AIは日本市場向けの文脈で情報を収集・生成します。

英語サイトの情報が活用されやすいのは、英語で質問された場合や海外向け情報を探す場合に限られます。

実際にあったLLMO対策営業の話

昨年、当社でWebサイトをお作りしたあるお客様のもとに、LLMO対策を名乗るコンサルティング会社から営業がありました。

お客様は「ものの試し」と評価を受けてみたところ、「Webサイトの作りは、弊社より良い点数です」とのこと。(そりゃ当社でお作りしているのですから!)

そのうえで提案されたLLMO対策の内容が「英語サイトを作ること」でした。
疑問を持ったお客様は、当社担当にご相談くださいました。
担当はその場で即答しています。

「必要ありません。ターゲットは日本のお客様であり、外国人が来ても対応できない。
そのような状況でLLMO対策のためだけに英語サイトを作る必要はありません」

LLMO対策の専門家として申し上げます。
お客様にとって効果がほぼなく、的外れな対策を提案する営業姿勢には、正直疑問を感じます。

LLMO対策はまだ出始めの技術領域であり、実際にWebサイト制作をしていないとわからないことが多い分野です。

英語サイトが「日本企業のLLMO対策」にならない理由

もう少し具体的に解説します。日本のユーザーが「横浜でホームページ制作に強い会社は?」と日本語でAIに尋ねれば、AIは日本語で回答を生成します。

その際、日本語で書かれたコンテンツが情報源として参照されやすい状況になります。

英語サイトが参照されやすいのは、英語で質問された場合、または海外向けコンテンツを扱う場面です。

では、御社のターゲットは誰でしょうか?

日本語を使う日本のお客様であれば、英語サイトを作っても、日本人ユーザーへのAI回答で参照されるケースはほぼありません。

また、英語サイトを一から制作するには相応のコストと時間がかかります。

そのリソースを「英語サイト制作」に費やすより、既存の日本語サイトのコンテンツの質を高めることに使ったほうが、LLMO対策として圧倒的に効果的です。

SEO対策としての補足:英語圏への海外展開を見据えた企業には、英語サイトのSEO効果はあります。ただしそれはSEO対策であり、日本向け事業を行う日本企業のLLMO対策とは別の話です。目的と手段を混同しないようにしましょう。

本当に必要なLLMO対策は「日本語の情報の質」

では、AIが日本語の質問に対して自社サイトを参照・紹介するようになるには何が必要か。
答えはシンプルです。日本語のコンテンツを充実させることです。

  • 会社・サービスの情報を具体的な数値・実績で書く
    (例:「創業25年、Webサイト制作実績100件以上」)
  • FAQページを充実させ、ユーザーの質問に直接答える形で情報を整理する
  • 専門家としての知見・経験を示す記事・コラムを継続的に発信する
  • Schema.org構造化データを実装し、AIがサイトの情報を読み取りやすい構造にする
  • llms.txtを設置し、AIクローラーへの情報提供方針を明示する

これらはすべて「日本語で・日本人ユーザー向けに・自社の信頼性を伝えるための対策」です。
英語サイトを新たに作ることより、こちらに集中したほうが効果的であることは言うまでもありません。

著者からのお知らせ:6月出版の書籍に込めた思い

先日3月5日、私・芝田が執筆していた「LLMO対策」の本の原稿がついに書き上がりました。
出版社の都合もあり、2026年6月の出版になる予定です。
タイトルは(仮)『今すぐできるLLMO・AIO対策テクニック100』(秀和システム新社)。

この本を書こうと思った動機のひとつが、今回のような「的外れなLLMO対策」が横行している現状への危機感です。

LLMO対策はまだ出始めの技術領域であり、実際にWebサイトを制作・運営していないとわからないことが多くあります。その現場感覚をすべて詰め込んだ、具体的で真っ当なLLMO対策の手法書です。

が出ることで、世の中のLLMO対策の品質が上がり、お客様が不利益を受けることのないようにしたい。それが、私が今最も強く願っていることです。

参考:
Adobe Blog「アドビ調査:AI経由のトラフィックが全業界で急増、最大の伸びは小売業界」(2026年1月16日)
https://blog.adobe.com/jp/publish/2026/01/16/ex-adobe-survey-ai-driven-traffic-surges-across-industries

芝田弘美(しばた ひろみ)

プリズムゲート株式会社 代表取締役

Web業界30年のWebコンサルタント。1000社以上のWebサイト制作・運営に携わる。現在は「今すぐできるLLMO対策テクニック100」(2026年春出版予定)を執筆中。LLMO対策セミナーの講師としても、中小企業のAI時代に向けたWeb戦略を支援している。特技は日本舞踊(師範)、空手(三段)。

著書:ホームページ集客大全(自由国民社)、Webライティング大全(自由国民社)、儲かる会社はホームページが9割!(自由国民社)、士業のためのホームページのつくりかた(中央経済社)

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